アドリア海を望み、山岳地帯特有のキノコやジビエという山海の食材が豊富な土地。
「ここでは海と山、両方の料理ができる」と、意欲的に仕事をしていきました。トリュフの産地としても名高く、山地で作られる多様なチーズや、古代ローマ時代から続くワインに家庭的な蒸留酒など、
望むままにありとあらゆる食の挑戦に明け暮れた時代。食材の新鮮さにおいては驚く経験もしました。
「注文を受けて隣の畑に採りに行くのです。土の香りも野菜独自の苦みや甘みも料理のうちであることに感銘を受けました」。この経験は、今の飯田シェフの美学にも受け継がれています。
次に活動の拠点に選んだのは、『ロミオとジュリエット』でも有名なヴェローナ。
中世の街並みにローマ遺跡が残り、旧市街一体が世界遺産として登録されている観光地としても人気の古都であり、ガルダ湖のほとりにある店のオープニングシェフに任命されたのは29歳の頃。共に厨房で働くスタッフもさまざまな国から集まった精鋭で、言葉や文化の壁を越えて「おいしい料理を提供する」というミッションの下に日々切磋琢磨した良き時代です。